WordPress運用・復旧

WordPressバックアップの選び方|取得範囲・保管先・復元テスト

バックアップは、完了通知やZIPファイルがあるだけでは復旧手段になりません。データベースとファイルを同じ時点の一組として取得し、DNS、メール、CDN、外部ストレージなど対象外も記録します。許容できるデータ損失と復旧時間から頻度・保管先を決め、別環境への復元試験まで通して初めて合格です。

公開日 2024-12-05更新日 2026-07-25執筆・確認 Finite Field 編集部
WordPressのバックアップ計画と復元結果をパソコンで確認する担当者
既存記事の運用イメージです。特定製品の操作画面や復旧成功を示すものではありません。

この記事に広告・アフィリエイトリンクはありません。バックアップ範囲と復元順はWordPress Developer Resources、各候補の機能と無料・有料境界はWordPress.orgの公式プラグインページで確認しました。製品順位、無停止、完全復旧、保存先の安全性を保証するものではありません。機能、価格、要件、保存先は導入時に再確認してください。事実確認日は2026年7月25日です。

この記事で決められること

製品名より先に、戻したいデータ、戻す時点、許容時間、保管場所、復元責任者を決めます。

取得範囲

DB、wp-content、設定ファイル、追加コード、WordPress外の構成を一つの台帳へ分けます。

RPOとRTO

何分・何時間分まで失えるか、何時間で業務を戻すかから頻度と復旧手段を決めます。

保管と権限

本番障害やアカウント侵害と同時に失わない別管理のコピー、暗号化、保持、削除を設計します。

復元テスト

別環境へDBとファイルを戻し、ログイン、表示、送信、購入、更新、ログを実操作で確認します。

完全復元には、同一時点のデータベースとファイルが必要

WordPress公式文書は、典型的なサイトを完全に戻すにはデータベースとファイルの両方が必要と説明しています。サーバー上のWordPressディレクトリをコピーしても、別のMySQL・MariaDBにあるデータベースは通常含まれません。逆にSQLだけではテーマ、プラグイン、アップロード、wp-config.php、.htaccessを戻せません。

一部だけ戻す前に整合性を確認する

注文、会員、予約、在庫、フォームなどはDBとアップロードが同時に変わります。古いDBと新しいファイルを混ぜると参照先や状態がずれるため、取得時刻、サイト版、WordPress・PHP・DB版、プラグイン一覧、ハッシュ、対象外をバックアップセットへ記録します。

表は横にスクロールして、取得対象、抜けやすい点、復元確認を比較できます。

完全復元には、同一時点のデータベースとファイルが必要
区分主な対象抜けやすい点復元確認
データベース投稿、固定ページ、コメント、利用者、設定、プラグイン・テーマが保存するテーブル別prefix、独自テーブル、外部DB、主キーのない表、保存中の注文やジョブ全テーブル、文字コード、行数、URL、ログイン、業務レコードを確認
WordPressファイルwp-content、uploads、plugins、themes、mu-plugins、wp-config.php、.htaccess、追加コードWordPress外に置いたアップロード、シンボリックリンク、除外設定、大容量ファイル所有者・権限、欠損画像、テーマ、プラグイン、秘密情報、生成物を確認
WordPress外DNS、ドメイン、TLS、メール、CDN、WAF、オブジェクトストレージ、cron、環境変数、外部SaaSプラグインのバックアップに含まれない構成、API鍵、Webhook、請求・契約情報別台帳とエクスポートを保管し、復旧順・連絡先・再発行手順を確認

RPO・RTOと変更量から、頻度と復旧手段を決める

週次か日次かを一律に決めず、失ってよい更新量と、業務を止められる時間から逆算します。WordPress公式も、活動量が多いサイトほど頻度を上げ、更新前にDBを取得するよう案内しています。

RPO:どの時点まで戻せればよいか

日次バックアップなら最大約24時間分を失う可能性があります。注文・予約・会員変更が多い場合は、より短い間隔やリアルタイム方式、差分の保全を検討します。

RTO:何時間で業務を戻すか

クラウドからのダウンロード、展開、DB取込、DNS・TLS・キャッシュ、検証、承認を含む実測時間で決めます。ワンクリックという名称だけで見積もりません。

取得の契機

定期取得に加え、WordPress・PHP・テーマ・プラグイン更新、移行、URL変更、DB作業、大量編集の直前に復元点を作ります。

保持と世代

直近だけでなく、障害や侵害に気付くまでの期間を超える世代を残します。容量、法令、個人情報、削除要求に合わせて保持・廃棄します。

本番と同時に失わない保管先と権限を用意する

WordPress公式は、最近の複数世代を異なる場所へ置き、自動バックアップだけでなく手動確認も行うよう案内しています。同じサーバー内のコピーは高速ですが、サーバー障害、侵害、誤削除、契約停止で本番と同時に失う可能性があります。

表は横にスクロールして、役割、同時喪失の例、必要な確認を比較できます。

本番と同時に失わない保管先と権限を用意する
保管先役割同時喪失の例必要な確認
同一サーバー直前変更の短時間ロールバック、作成中の一時置場ディスク故障、侵害、暗号化、容量枯渇、契約停止、同じ削除操作単独の最終保管先にしない。公開ディレクトリ外、容量監視、自動削除を確認
ホストのスナップショットサーバー全体またはボリュームの高速復旧同一契約・同一管理画面、保持期間、取得時点、復元依頼待ち対象、頻度、保持、別リージョン、取出し、復旧所要時間を契約で確認
別アカウントのクラウド・オブジェクト本番外の自動保管、世代管理、遠隔地コピー同じ管理者資格情報、同期削除、公開設定、鍵紛失、利用停止最小権限、MFA、暗号化、保持ロック、監査ログ、復号・取出し試験
ローカル・オフラインクラウド障害やアカウント侵害から独立した保管端末紛失、媒体故障、古いコピー、暗号鍵の喪失暗号化、別場所、定期接続、媒体更新、鍵の別保管、復元読取を確認

5候補は順位ではなく、復旧方式と保存先で比較する

以下は2026年7月25日にWordPress.orgの説明を確認したスナップショットです。候補の自己評価や件数を信頼性の証明にせず、無料・有料境界、保存先、WordPressが停止した状態からの復旧、対象外を同じ試験で比較します。

表は横にスクロールして、用途、無料・契約条件、保管先、復旧時の注意を比較できます。

WordPressバックアップ候補の条件別比較
候補適する運用無料・契約条件保存先復旧時の注意
UpdraftPlusDB、プラグイン、テーマ、uploadsなどを分け、手動・定期取得と管理画面復元を行う運用。無料版で手動・定期取得、複数の主要リモート先、構成要素別復元、移行を確認。増分、更新前自動取得、複数保存先、DB暗号化などはPremium。無料対応先とPremium対応先が異なるため、必要な保存先と複数送信の契約範囲を確認。各構成要素が同じ取得時点か、アーカイブ一式がそろうか、管理画面不能時の手順を試す。
BackWPupWHAT・WHEN・WHEREで対象、頻度、複数保存先を設定し、履歴とログを管理する運用。FreeでDB・ファイル、定期実行、複数のクラウド先、手動アップロードしたバックアップの復元を確認。直接クラウド復元、暗号化、移行、単体復元アプリはPro。同一ジョブの複数保存先、保存先別保持を確認。Google Drive等はPro側となる組合せがある。FreeとProで復元元の操作が異なる。更新履歴の復元・セキュリティ修正も導入前に確認。
Jetpack VaultPress Backup外部クラウド、アクティビティログ、日次またはリアルタイム取得、サイト停止中の復元が必要な運用。利用にはBackupを含む有料Jetpackプランが必要。プランごとの頻度、保持、ストレージ、WooCommerce対応を契約前に確認。Jetpack側のクラウドへ保存。Google DriveやDropboxへ直接保存する方式ではないが、ダウンロード可否を確認。Multisiteとsplit site・home URLは非対応と公式FAQに記載。資格情報、オフライン復元、注文保持の条件を試す。
Duplicator LiteDBとファイルを一つのパッケージにし、複製、ステージング、ホスト・ドメイン移行を行う運用。Liteで手動パッケージと移行を確認。定期取得、クラウド連携、Recovery Points、Multisite等はPro範囲。ローカルダウンロードを基本に、クラウド・FTP/SFTP等はPro契約範囲を確認。大容量サイトの実行時間、サーバー資源、インストーラー保護、空環境からの復元を試す。
All-in-One WP MigrationDB、メディア、テーマ、プラグインを.wpressへ書き出し、別WordPressへインポートする移行中心の運用。基本の書出し・取込を確認。無制限サイズ、クラウド、Multisite、定期取得、DB絞り込みはPremium Extension。ローカル書出しと、必要なクラウド拡張の費用・認証・保持を分けて確認。ホストのアップロード上限、PHP・ディスク容量、.wpressの取出し、取込後のキャッシュとパーマリンクを試す。

取得・検証・通知を一つのジョブとして設定する

初回フルバックアップを作るだけで終わらせず、定期実行、保持、監視、復元責任者を運用に組み込みます。販売・予約中のサイトでは、取得中に状態が変わる前提で整合方式を確認します。

  1. 1

    対象と除外を保存する

    DB全表、WordPressファイル、追加ディレクトリ、外部データを列挙します。キャッシュや一時ファイルだけを除外し、独自テーブル・uploadsを誤除外しないようレビューします。

  2. 2

    頻度・保持・保存先をRPOから決める

    フル・増分・リアルタイムの役割、実行時刻、世代数、容量上限、失敗時の削除、少なくとも一つの本番外コピーを決めます。

  3. 3

    権限と秘密情報を分離する

    保存先は専用資格情報、最小権限、MFA、暗号化、監査ログを使います。復号鍵と復旧手順は同じ障害で失わない別経路へ保管します。

  4. 4

    成功・失敗・未実行を監視する

    最後の成功時刻、対象、サイズ、所要時間、保存先、ハッシュ、失敗理由を通知します。成功通知が途絶えた状態も障害として扱います。

  5. 5

    更新前の復元点を作る

    WordPress、PHP、テーマ、プラグイン、DB変更、大量編集の前に手動取得し、完了と外部保存を確認してから変更します。

範囲と設定画面を、復元要件に結び付けて読む

公式WordPress文書はDBとファイルを一つのバックアップセットとして扱うよう説明しています。BackWPupの現行スクリーンショットは、対象、頻度、保存先を別々に設定する流れを示します。画面名は更新されるため、導入版でも対象と保存先を読み直してください。

WordPress公式文書が完全復元にはデータベースとファイルの両方が必要と説明する画面
WordPress Developer Resourcesは、DBとファイルが別の場所にあり、典型的なサイトの完全復元には両方が必要と説明しています。取得・確認日:2026年7月25日。
WordPress.orgのBackWPup公式ページに掲載された対象、頻度、保存先、履歴の設定画面
WordPress.org公式プラグインページの現行スクリーンショット。WHAT、WHEN、WHEREを分け、バックアップ履歴まで確認します。取得・確認日:2026年7月25日。

別環境への復元試験を通して、初めてバックアップを合格にする

アーカイブを開ける、ファイル数が合う、SQLを読めることは中間確認です。本番と分離した空環境またはステージングへ戻し、利用者と業務の操作を通します。本番バックアップをそのまま外部検証者へ渡さず、個人情報と秘密情報を管理します。

準備と証跡

  • 復元対象の日時、RPO、WordPress・PHP・DB版、URL、バックアップ一式、ハッシュを記録
  • 空環境、DB、容量、権限、TLS、復号鍵、保存先からの取出し権限を準備
  • 開始・完了時刻、担当者、操作ログ、エラー、手動補正を保存

復元順と整合性

  • WordPress公式の基本順にファイルを戻し、その後DBを取込む
  • wp-config.phpのDB接続、URL、文字コード、所有者・権限、cron、キャッシュを確認
  • 画像・添付、独自テーブル、注文・予約・会員、外部オブジェクトの参照を照合

利用者・業務操作

  • トップ、記事、検索、404、画像、ログイン、管理画面、権限別操作を確認
  • フォーム、メール、Webhook、購入、返金、予約、会員更新など対象業務を安全に試験
  • DNS・TLS・CDN・WAF・外部APIを本番へ誤送信しない状態で接続確認

合否と改善

  • 実測RPOとRTOが目標内で、手順だけで担当者が復元できる
  • 欠損、手動補正、権限不足、容量不足、古い鍵をFindingとして修正
  • 再取得・再復元し、Findingが0になるまで試験を繰り返す

障害時は、証拠と新規データを守ってから戻す

侵害、誤操作、更新失敗、サーバー障害では、慌てて本番へ上書きすると原因証拠やバックアップ後の注文を失います。影響範囲、復元点、差分データ、連絡順を決めてから復旧します。

  1. 1

    変更と被害拡大を止める

    公開変更、定期ジョブ、同期削除、侵害された資格情報を止めます。時刻、症状、URL、ログ、画面、構成を保存し、クリーンな端末と連絡経路を使います。

  2. 2

    復元点と失う差分を合意する

    最後の正常時点、バックアップの成功・保存先・整合性を確認し、その後の注文、予約、会員、投稿、フォームを抽出または再入力できるか判断します。

  3. 3

    分離環境で復元し原因を除く

    DBとファイルを同一セットから戻し、侵害なら脆弱性、アカウント、秘密鍵、バックドアを除去します。原因が残る状態を本番へ戻しません。

  4. 4

    受け入れ後に切り替える

    主要URLと業務操作、監視、TLS、メール、Webhookを確認し、承認後にDNS・トラフィックを切り替えます。旧環境は証拠保持方針に従い隔離します。

  5. 5

    差分を反映し監視する

    復元点以後の正当なデータを重複・欠損なしで反映し、404、5xx、認証、送信、注文、cron、バックアップ再開を監視します。

公開前後のチェックリスト

対象、時刻、保存先、ハッシュ、通知、復元結果、RPO・RTO、担当者を一枚に残し、更新・契約変更・権限変更後に再確認します。

設計・契約前

  • DB・ファイル・WordPress外の対象と除外を説明できる
  • RPO・RTO、頻度、保持、容量、保存先、廃棄を決めた
  • 必要機能が無料・有料・拡張のどこに含まれるか確認した

日常運用

  • 最後の成功、未実行、サイズ急変、保存先失敗を監視する
  • 本番外コピー、MFA、最小権限、暗号化、鍵の別保管がある
  • 更新・移行・DB作業前に手動復元点を作る

定期試験

  • 別環境で保存先からの取出し、復号、DB・ファイル復元を行う
  • 利用者・管理者・業務操作と実測RPO・RTOを確認する
  • Findingを直して再取得・再復元し、手順と担当者を更新する

確認した一次資料

範囲と復元順はWordPress公式文書、候補の機能と契約境界は2026年7月25日時点のWordPress.org公式ページで確認しました。版、価格、保存先は本文の固定値にせず導入時再確認としています。

よくある質問

レンタルサーバーの自動バックアップだけで十分ですか?

対象、頻度、保持、同一障害の範囲、取出し方法、復旧時間がRPO・RTOを満たすかで判断します。同じ契約や管理画面だけに依存せず、自分で取得・復元できる本番外コピーも用意してください。

バックアップ成功メールが届けば復元できますか?

証明にはなりません。DBとファイルの一式、対象、サイズ、ハッシュ、保存先を確認し、別環境へ実際に復元して主要操作とRPO・RTOを合格させる必要があります。

データベースだけ毎日取れば十分ですか?

投稿中心でファイル変更が少ない期間の補助にはなりますが、完全復元には通常ファイルも必要です。uploads、テーマ、プラグイン、wp-config.php、.htaccess、追加コードを同一時点のセットとして取得してください。

バックアップを同じサーバーへ置いてもよいですか?

短時間の復旧用には使えますが、唯一のコピーにはしません。ディスク故障、侵害、誤削除、容量枯渇、契約停止で本番と同時に失うため、別アカウントやオフラインなど独立した保管先を追加します。

侵害後は最新バックアップへ戻せば安全ですか?

最新バックアップにも侵害内容が含まれる可能性があります。侵入時点と原因を調べ、正常な復元点を分離環境で戻し、脆弱性・アカウント・秘密鍵・バックドアを除去してから本番へ切り替えます。

WordPress運用と復旧の関連ガイド

取得成功ではなく、目標時間内に安全に戻せることを完成条件にする

DB、ファイル、WordPress外の構成を棚卸しし、RPO・RTOから頻度、保持、保存先を決めます。本番と同時に失わないコピー、専用権限、暗号化、鍵の別保管、失敗監視を用意してください。候補は無料・有料境界と停止中の復旧方法で比較し、同一時点のDBとファイルを別環境へ復元します。主要操作と実測RPO・RTOが合格し、Findingを直して再試験できた状態を公開条件にします。

この記事の編集・検証方針

Finite Field 編集部

WordPress.orgの一次資料を照合し、製品の自己申告を復旧保証へ変換せず、取得範囲、保存先の独立性、無料・有料境界、実測RPO・RTO、復元試験を判断できる手順として編集しています。

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